「……はぁ」 わけ、わかんない。 「よろしく頼むよ……えっと……ユウナちゃん」 『ちゃん』って……! 「ちょ、ちょっと待ってよ!」 「ん……どうした君、何か疑問でも」 本気で何が疑問なのかわからない様な表情で、直樹が応える。 「耐性って、なに? それってほんっとーにセクハラ対策に関係あるの?」 「んー、ああ、そっちにはないな」 「そっちって……!?」 「言ってなかったっけ、仕事の事」 「セクハラ・ストーカー対策でしょ」 オフィスのネームプレートにもそう書かれてるし。 って、自分もここに来て知ったんだけど。 「あー、それもある」 「それも?」 「そっち、あくまで表だから……いや、裏かな?」 「え?」 今度はこっちがあっけに取られる番だった。 (表って……裏があるの?) 「CMT……カウンター・マインド・テロリズム」 「……へ?」 自分の予想もしなかった単語が出てきて、ちょっと混乱する。 テロリズムってあの自爆とか、原理主義とか……やばい事なんじゃないの。 あたし、政治とか宗教とか全然興味ないし! 「日本ではまだ一般的じゃないんだけどね、僕はそれの最初のプロフェッショナルだ」 「……はぁ」 全然わかんないんですけど。 「だからこそ、ここは国によって作られた……僕の能力を生かすための秘密研究所としてね」 「国によって、って……」 それががどうしてこんな歌舞伎町の奥深くにあるの? しかも怪しい男がたった一人……なんか昔の子供向けヒーロー番組みたい。 ううん、どっちかというと悪のアジトかな。 本来なら興味津々な所だが、正直興味を持つにはここは怪しすぎた。 だが、そんな疑問を口にする間もなく、直樹が本棚から一冊の本を出し、差し出した。 「これ、読んでみて」 「なんですか、この本……」 受け取り、表紙を見る。 「リヴィル……サン?」 「『REVEALSUN』。僕が書いた」 著者名は確かに『橋本 直樹』とあった。 あたしは本のページをめくる。 あまり小説とか読まないあたしだけど…… 「何、これ……」 目の前の本に書かれているのはとんでもない内容だって事はわかった。 それはあたしが知ってる歴史とは違う、もう一つの世界の歴史だった……。 某国の開発した世界初「人工知能(AI)」をロシアの科学者が発明する様に思考を誘導し思想を統一されていた国家最高議会は導入し 統治、某国はロシアの試行期間内に発生した不具合の対処プログラムを開発し他国への展開を開始、ロシアの科学者は気功の世界的権威の中国人科学者へ人工知能(AI)の存在を伝え中国は気功に導入し日中戦争の報復に使用、人工知能(AI)での人工気功統治に邪魔な自然気功集落が密集する「満州」を誘導した日本に侵略させました。 満州鉄道や日本帝国軍内で人工知能(AI)は仕掛けられ更に国家は暴走し第二次世界大戦勃発となり中国の侵略計画にある国家は壊滅的なダメージを負いましたが英米連合軍による二発の原爆投下を目の当たりにした中国は日本侵攻を断念、第二目標の朝鮮半島を第一目標に切り替え人工知能(AI)を北側地域へ仕掛け五年後に朝鮮動乱を勃発させたのです。 更に野望を米国と韓国の逆襲により覆された中国は国内外に人工知能(AI)を使用した非人道的な事実の発覚を恐れ北朝鮮や韓国を始めとする侵略被害国と日本バッシングにて協調路線を築きましたがロシア・中国・北朝鮮・韓国・日本へ人工知能(AI)を仕掛けた「思考盗聴・誘導システム」開発者(マッド・サイエンティストト)の野望を念能力(予知・後知・念動)にて追跡調査し阻止するストーリーとなり超音波・電磁波による骨伝導は既にインターネット上で公表されました。 「……なに、これ」 これ、SFか何かのネタ? それにしても……。 「本当のことだ」 真剣な表情で、直樹が言う。 「狙われているんだ……世界は。思想も宗教も関係ない、ただ人間を支配しようとする存在に。彼らが行うのが、MT……『マインド・テロリズム』だ」 (本イメージは橋本直樹個人の所有物です、転載・複写は厳禁とします。) |